カツオとは?
江戸時代前期の俳人「山口素堂」が詠んだ句「目には青葉 やまほととぎす 初鰹」のように5月とカツオは切っても切れないもののひとつです。ただ、今の東京周辺では5月頃に獲れるということであり、西日本ではもう少し早い時期から取れ始め、秋口には戻りガツオとして脂ののりもよくなりますが、この時期のさっぱりとした赤身は季節のものとして日本人の心に沁みついているのでしょう。
分類
標準和名 カツオ
特徴
基本情報
◆産 地
静岡県、東京都、三重県、宮城県、高知県(遠洋漁業の冷凍を含む)
◆生 態
カツオは、世界中の温帯から熱帯海域に分布している魚で、暖海性の外洋で回遊しながら小魚などを捕食し生息しています。日本近海では黒潮にのって太平洋を春に九州南部から北上し、秋に宮城県沖に達し、そこで親潮とぶつかるためUターンしてまた南下するという季節的な回遊をします。日本海側には少なく、ほとんどが太平洋側で漁獲されます。
◆漁 期
毎年北上南下をする魚で、日本近海では3月頃に鹿児島から獲れ始め、5月頃に本州中部、8~9月頃三陸北部、北海道南部あたりまで進み、そこまらまた南下を始め、12月頃まで漁は続きます。
青色=産卵期 黄色=漁獲時期 赤色=最盛期
◆漁 法
一本の釣竿で次々とカツオを釣り上げる一本釣り漁法の他に、巻網にて漁獲しています。
目利きのポイント
できれば釣り物で活締めしてあり、当日悪くても前日水揚げされたものがよいですが、難しい場合は出来るだけ大きく、擦り傷などがないものがよいでしょう。触ってみて硬いものは比較的当たりはずれは少ないですが、水氷でキンキンに冷やしてあると判断しにくいので注意が必要です。見た目で判断が難しい場合は、エラが鮮やかな赤いものを選ぶとよいでしょう。それでも難しい場合は、鮮魚にこだわらず鮮度にはまず間違いのない船上凍結品も選択肢の一つにして下さい。
おすすめの食べ方
鮮度が良く身がきれいな赤色のものは刺身やタタキにして食べるのが定番です。薬味はニンニク、生姜、青ねぎ、玉ねぎ、大葉、みょうが、塩など一般的ですが、梅干し、スプラウト、大根おろしなどもあうのでぜひやってみてください。
また、アラは良い出汁が出ますし、ハラスは焼物に向きます。揚物などにする場合は、脂が多くないので、ソースなどでカバーすることが必要です。加熱しすぎると身がパサつきますので、鮮度がよい前提ですがレア~ミディアムレアくらいにとどめるのがよいでしょう。
カツオのフライ~タルタルソースがけ~
- ▼材料(2人前)
・カツオ柵 ・・・ 1/2本
・塩こしょう ・・・ 少々
・小麦粉 ・・・ 100g
・水 ・・・ 100ml
・卵 ・・・ 1/2個
・揚げ油 ・・・ 適量
〈添え野菜〉
・レタス ・・・ お好みで
・トマト ・・・ お好みで - ・
〈甘酢〉
・濃口醤油 ・・・ 大さじ4
・砂糖 ・・・ 大さじ4
・酢 ・・・ 大さじ4
・片栗粉 ・・・ 小さじ2
・水 ・・・ 適量
〈タルタルソース〉
・たまねぎ ・・・ 1/4個
・パセリ ・・・ 少々
・卵 ・・・ 2個
・サラダ油 ・・・ 少々
・マヨネーズ ・・・ 適量
▼作り方
①カツオの柵を1.5cm幅にスライスし、塩コショウを振ります。
②ボウルに小麦粉、卵、水を入れ混ぜ合わせます。
③カツオに②の衣をつけ、170℃の油で揚げます。
④お皿にカツオのフライを盛り付け、甘酢とタルタルソースをかけ、レタスとトマトを添えます。
〈甘酢〉
①ボウルに濃口醤油、砂糖、酢を入れ混ぜ合わせます。
②鍋に①を入れ、煮立ったら水溶き片栗粉を入れ、とろみをつけます。
〈タルタルソース〉
①タマネギとパセリをみじん切りします。卵は固ゆで(沸騰後、12分茹でる)にします。
②ボウルに①とサラダ油、マヨネーズを入れ、混ぜ合わせます。
カツオカツ
- ▼材料(2人前)
・カツオの柵 ・・・ 1/2本
・塩こしょう ・・・ 適量
・小麦粉 ・・・ 適量
・卵 ・・・ 適量 - ・
・パン粉 ・・・ 適量
・揚げ油 ・・・ 適量
・マヨネーズ ・・・ お好みで
・添え野菜 ・・・ お好みで
▼作り方
①カツオの柵に塩こしょうをします。
②①に小麦粉→卵→パン粉の順に衣をつけます。
③フライパンに多めの油を入れて、②を片面30秒ずつ揚げ焼きにします。
※火を通し過ぎると硬くなるので、ミディアムレアくらいに仕上げるのがポイントです。
④③を切って、お皿に盛り付けます。
※カツオのたたきをアレンジして揚げてみてもおいしいですよ。
栄養素
カツオは、マダイと比較してみてもたんぱく質*1を多く含んでおり、初鰹は赤身が多く、さっぱりした味わいであるところからも分かるように、カロリーや脂質※2が低いのに対して、戻り鰹は、脂が乗っているため、カロリーや脂質が高めです。同じカツオでも時期によって味や栄養が異なりますので、初鰹と戻り鰹の両方を味わってみてはいかがでしょうか。また、ミネラル*3やビタミンB群※4、ビタミンD※5も多く含んでいます。
※バランスの良い食事を心がけましょう。
*1たんぱく質とは、三大栄養素のひとつであり、血液や筋肉などの体をつくる主要な成分であるとともに、酵素などの生命維持に欠かせない多くの成分になります。エネルギー源として使われることもあります。また、たんぱく質は、アミノ酸で構成されており、体内で合成できるもの(非必須アミノ酸)・合成できないもの(必須アミノ酸)があり、後者は食事から摂取する必要があると言えます。
*2脂質とは、三大栄養素のひとつであり、1グラムあたり9キロカロリーと、三大栄養素の中でも最も高いエネルギーを得ることができます。重要なエネルギー源だけでなく、ホルモンや細胞膜、核膜を構成したりする働きがあります。
*3ミネラルとは、人間の臓器や細胞の活動をサポートしたり歯や骨のもとになったりといったとても重要な働きがあります。
*4ビタミンB2とは、水溶性ビタミンのひとつで、三大栄養素がエネルギーになるための補酵素の役割があり、脂質の代謝に大きくかかわっている栄養素です。
*5ビタミンDとは、脂溶性ビタミンの一つで、腸管からのカルシウム吸収を助け、カラダ作りをサポートするビタミンです。