梅も咲き始め、立春を迎え暦の上では春になりますが、まだまだ寒い2月です。
また、食材も冬のものと春のものが交互する季節ですので、どっちつかずのところもありますが、良い意味では名残りと走りが味わえるとても良い季節とも言えます。野菜では菜の花が春のものとしてとても有名で、魚介類もこの時期にしか獲れないものが沢山あります。
その中で、今回はイイダコのご紹介です。2~3月に産卵を迎えるため、これから最も美味しくなるもののひとつです。
イイダコとは?
国内で食用で出回っているタコといえば、マダコ、ミズダコ、ヤナギダコが多く、加工品も含めて1年中出回っています。
今回紹介させていただくイイダコは漁期が1月~3月の短い期間しかないため、この季節くらいしか出回りません。
大きくても約20cm程度までにしかならず、産地くらいでしかお目にかかれないタコといえます。
漢字では「飯蛸」と書き、子持ちの卵が飯粒のように見えることから名付けられたと言われており、抱卵したメスの方が高値(とはいっても安いですが)で取引されます。
分類
標準和名 イイダコ
特徴
分布域・生態
北海道南部以南の日本各地で、主に水深10~20mの比較的浅い砂泥域に生息しています。
海底に落ちている2枚貝の殻や、他には空き瓶などを隠れ家にする習性があり、日中は身を潜め、夜間に海底を移動しながら、アサリなどの2枚貝や、小さな甲殻類などを捕食します。
孵化直後でもすでに1cm程の大きさで、すぐに海底を這い、1年で程度で成魚になりますが、寿命も1年程度です。
産卵前になるとメスの胴部に長円形の卵がいっぱいに詰まり、1匹につき200~600粒の卵を持ちます。
漁期
漁獲時期は11~4月、産卵期が最盛期になるので、2~3月に多く漁獲されます。
目利きのポイント
イイダコは、やはりイイの詰まった子持ちの雌が良いです。通常オスとメスは分けて扱われており、子持ちのメスの方が高値で取引されています。
また、色が濃く、金の輪紋などの斑紋がくっきりしているものが新鮮です。
どのタコにも言えることですが、吸盤が手に吸い付いてくるものが鮮度が良いです。
おすすめの食べ方
煮付けにすると美味しいタコです。卵たっぷり詰まった子持ちのメスの煮付けは、イイ(飯)が口の中に広がり、とても美味しくいただけます。炒め物や酢味噌和え、揚げ物、炊き込みご飯、おでんの具などもおすすめです。
※注意 タコは吸盤に汚れやゴミが溜まっていることが多いので、塩もみする際などに吸盤の汚れをしっかり落としておくことが大切です。
イイダコの酢味噌和え
▼材料(2人前)
・イイダコ 1杯
・ワカメ 10g
・塩 少々
・レモン 適量
・酢味噌 適量
▼作り方
①イイダコの頭の中にある肝と墨袋を取り除く。
②①のイイダコを塩でよくもみ洗いをして、ぬめりを取り除く。
※塩を入れすぎると辛くなるので注意する。
③鍋に水、塩を入れ火にかけ、イイダコを入れ茹でる。
④お皿にわかめとイイダコを盛り付けレモンを添え、酢味噌をかける。
イイダコの煮付け
▼材料(2人前)
・イイダコ 4杯
・大根 40g
・生姜 1かけ
・水 200㏄
・ほんだし 小さじ1
・砂糖 大さじ1
・濃口醤油 大さじ2
・みりん 大さじ1
▼作り方
①イイダコの頭の中にある肝と墨袋を取り除く。
②①のイイダコを塩でよくもみ洗いして、ぬめりを取り除く。
※塩を入れすぎると辛くなるので注意する。
③鍋に水、塩、ほんだし、砂糖、大根(いちょう切り)、イイダコ、生姜を入れて、落し蓋をして煮る。
④濃口醤油、みりんを加えて、煮る。
栄養素
イイダコは、アミノ酸の一種であるタウリンを含んでいるため良質なたんぱく質を含んでおり、レチノールも多く含まれています。