悪者扱いばかりされている外来種

今月は外来種について考えてみたいと思います。「外来種」は元々その地域にいなかったのに、人間の活動によって他の地域から入ってきた生物のことをいいます。たとえば、ペットや家畜として連れて来られたり、人や物が移動するときに小さな植物の種や虫などがくっついて来たりすることがあげられます。外来種の中で、特に地域の自然環境や生態系に大きな影響を与え、脅かすおそれのあるものを「侵略的外来種」といいます。その地域に元からいる動植物を食べる・餌をうばい合う・畑を荒らす・農作物を食べる・人間が噛まれたり刺されたりするなど、さまざまな問題が起きています。日本では2005年6月1日より外来種の規制を定めた初めての法律(特定外来生物法)が施行されました。
悪者扱いばかりされている外来種ですが、そもそもの原因は人間の活動です。私たちは人間の立場から問題や被害をみていますが、外来種の立場からみたらどうでしょうか。「外来種のきもち」という本を読みました。特定外来生物に指定されているカミツキガメが37種の外来種(アライグマ、シロツメクサ、ウシガエル、オオヒキガエル、クサガメ、コイ、アメリカザリガニなど)と対話しながら、それぞれの動植物がそれぞれの主張をしている内容です。たとえば、アライグマは1970年代に某テレビアニメが人気になり、ペット目的として多数輸入されました。成長すると気が荒くなり、行動も立体的で激しくなるため、飼いきれずに野外に放されるケースが増え、全国に拡散していきました。この本で、アライグマは「小さい頃は可愛いって言われて、大きくなると気が荒いとか物を壊すとか。人間が言う『可愛い』ってなんだよ!俺たちはぬいぐるみじゃない!命のあるいきものなんだ。いつまでもずっと飼い主の思い通りになると思っていたら大間違い。そもそも、野生の捕食動物だ」、と怒りをあらわにしていました。
現在、外来種は約2,000種いるといわれています。その数だけの命があります。動植物は人間のように言葉で訴えることはできません。私たち人間からの目線だけでなく、一度さまざまないきものの立場になって考えてみることが、もっと広い視野で問題をとらえることにつながるのではないでしょうか。「エシカル」を考える上でも、相手の立場を思いやることはとても大切です。

一般社団法人エシカル協会 竹地由佳

参照:環境省 日本の外来種対策
参考図書:外来種のきもち(著者:大島健夫 発行者:株式会社メイツユニバーサルコンテンツ 2020年月20日発行)